認知症の物盗られ妄想の原因と対処法

認知症の物盗られ妄想の原因と対処法

認知症の方が、「盗まれた」と言い張ったり、身近な方に泥棒の疑いをかけたりすることがあります。この記事では、「物盗られ妄想」の特徴と、症状が現れたときの対処法をご紹介します。

物盗られ妄想とは

物取られ妄想は、大切なものを「盗まれた」と思い込んでしまう認知症の症状のひとつで、比較的体力のあることが多い「認知症の初期」に現れやすいと言われています。物取られ妄想は、現金や財布、通帳、貴金属など「財産に関わるもの」で起こることが多く、疑いの目は身近にいる家族や介護スタッフに向けられやすいです。

本人が「盗まれた」と主張するものの大半は、自分でしまった場所を覚えていなかったり、どこかに置き忘れてしまったりすることが原因です。これは、「認知症による記憶障がい」によって起こっているため、「しまった場所」や「置き忘れた場所」を思い出すことができず、「しまったこと自体」を忘れてしまうこともあります。「大切なものが見当たらないが、思い当たる原因がわからない」ことから、「誰かに盗まれたに違いない」と思い込んでしまう、ということです。

このように、物盗られ妄想は、認知症による記憶力や思考力の低下と、本人の性格や生活環境、社会的背景などが絡み合って起こると考えられています。

物盗られ妄想の対処法

物盗られ妄想の対処をするときは、以下を心がけましょう。

●否定せず、一緒に探してあげる
物盗られ妄想がみられるときは、本人が興奮している場合が多いです。興奮している相手に不快感をぶつけると、関係は更に悪化します。

泥棒の疑いをかけられることは不快かと思いますが、まずは言い返さず、「大変ですね」と声をかけ、その後、「一緒に探してみましょう」と伝えてください。本人が興味を持ちそうな話をしながら探すと、お互いに心が落ち着きやすくなるのでおすすめです。

●会話の機会を増やす
物盗られ妄想には、子ども世帯との同居や介護などによる「生活環境のストレス」が関係していることもあります。日ごろから会話の機会を増やして、ストレスが溜まっていないか確認できるようにしましょう。忙しくて会話ができないときは、「あとで聞くから少し待っててね」と伝えることをおすすめします。

●介護サービスを利用する
介護する側に余裕ができると、余裕のある対処をしやすくなります。デイケアや訪問介護などを積極的に利用し、自分自身の心身をケアできるようにしましょう。疲れがピークをむかえる前に、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談をすることをおすすめします。

物盗られ妄想であらぬ疑いをかけられるのは気持ちのいいものではありませんが、認知機能の低下やストレスなどから起こる症状ですので、まずは受け止めてあげてください。ご自身の負担を軽くすることも大切ですので、積極的に介護サービスを利用するようにしましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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