NISSAY

Play, Support. さあ、支えることを始めよう。

Supporters' Eye

作りたいのは、「脚」ではなくて、
「道」だと思う。

臼井 二美男(義肢装具士) &
渡邉 珠美(アスリート)

うすい ふみお

臼井 二美男

61歳。義肢研究員、義肢装具士。公益財団法人鉄道弘済会・義肢装具サポートセンター勤務。現在までに2千本以上の義足を作り、1989年からはスポーツ義足の製作も開始。91年には切断障がい者の陸上クラブ〈ヘルス・エンジェルス〉を創設し、主宰者として現在までに約500回にも及ぶ練習会を実施している。クラブメンバーの中から中西麻耶選手(走り幅跳び、短距離走)、佐藤真海選手(走り幅跳び)ら多くのパラリンピック選手が生まれている。

再び走れることが、
生きるための力になる。

20数年前に、サポートセンターに通う義肢装着者の中に走れる人がいるかどうか調査した事があるんです。でも結果はゼロ。従来の義肢はあくまで日常生活用で、走りたくても壊れる不安が先立つし、リハビリでも走り方までは教えてくれない。しかし海外に目を向けると、専用の義肢を付けて活躍するパラリンピアンが大勢いるわけです。そんなことからスポーツ義足の製作に取り組み始めました。

アメリカから部品を取り寄せ、ようやく完成した試作品をある女性に装着してもらったのですが、二歩、三歩と走れた瞬間、彼女がワーッと泣き出したんですよ。もう走るなんて一生諦めていたって。その涙を見た時に、彼らにとって再び走れるようになる事はとても大きな力になると心の底から実感したんです。その思いは今日まで変わりません。

スポーツは、身体だけでなく、
心にとっても特効薬。

義足って、断端部を支えるソケットから関節の役割を果たす継手、足部までひとりひとり形状が違うんです。だからすべてがオーダーメイド。患者さんと密にコミュニケーションをとって、納得いくまで作り込みます。

彼らの中には生まれつき脚がない人もいれば、病気やケガで切断してしまった人もいる。皆、自らの障がいについては受容していても、大なり小なり、精神的なダメージを負ったところからスタートしているんです。それでも、スポーツを行うと性格が明るくなったり、免疫力が高まって身体の調子も良くなる。スポーツって、そういう特効薬的な部分が非常に大きいと気付いたんですね。

いままで運動経験がなくても、障がいを負ったのをきっかけにスポーツの世界に入ってくる人も増えています。だからいきいきと表を歩くとか、走ることの喜びだとかを一人でも多く味あわせてあげたい。それだけですよ。

彼らがたくましく、
前を向くための力になりたい。

スポーツ義足を着けてパラリンピックで活躍する選手が出てくると、今まで義足を隠していた人も堂々と表に出られようになります。最近ではヘルスエンジェルスの活動のほか、義足のファッションショーなども企画しています。それならより幅広い人達が参加できますからね。そんな風に、義肢装着者にしかできない事って何かな?と頭の中でいつもプランを練っているんです。

彼らの活躍が知られる事で、その姿に刺激を受けたり、憧れを持つ人も増えていく。いい相乗効果を生むんです。僕自身、そんな中にいるとポジティブなエネルギーを感じますし、自分が関わった患者さんが元気でいてくれれば、それが何よりの喜びですよ。自分の生きる証のような気もしているんです。

彼らには障がいを乗り越えるというよりは、たくましく、前向きになってほしい。僕はそのサポートができればと考えています。

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